Cline(クライン)とは
Cline(クライン)は、VS Code の拡張機能として動作するオープンソースの AI コーディングエージェントである。ユーザーが自然言語で「このリポジトリの認証バグを直して」と指示すると、ファイル閲覧・編集・ターミナル実行・ブラウザ操作といったツールを自律的に組み合わせてタスクを遂行してくれる。旧称は Claude Dev で、Anthropic の Claude を標準バックエンドにしたことからこの名で広まったが、現在は OpenAI・Gemini・DeepSeek・ローカル LLM(Ollama 等)を切り替えて使えるマルチプロバイダ対応に進化している。GitHub スター数は 2025 年時点で 4 万を超え、Cursor・Windsurf・Claude Code と並ぶ代表的な AI コーディングツールの一つとして認知されている。
身近な例えで言うと、Cline は「VS Code の中に住んでいる実行権限付きのプログラマー AI」のような存在である。チャット欄で指示を出すと、Cline は自分でファイルを開き、差分を提示し、ユーザーの承認を得てから実行に移す。エディタに組み込まれている点と、「編集・実行・ブラウザ」の 3 系統を横断する点が Cline の特徴で、CLI 中心の Claude Code や GUI 中心の v0 とは立ち位置が異なる。MIT ライセンスのオープンソースである点も、企業での導入のしやすさにつながっている。
Clineの読み方
クライン
シーライン(まれに C から始まる略称とみなして読むケース)
Clineの仕組み
Cline は VS Code 拡張として動作し、拡張側のサイドバーに対話 UI を表示する。ユーザー指示を受けた Cline は、以下のツール群を使ってタスクを遂行する。
Clineの主なツール
read_file/write_to_file: ファイル閲覧・書き込みreplace_in_file: 部分置換(diff 風)execute_command: ターミナルコマンド実行search_files: regex によるコード検索list_files: ディレクトリ一覧browser_action: Playwright 経由のブラウザ操作・スクリーンショットuse_mcp_tool: MCP サーバー連携
自律実行フロー
Cline のタスク実行ループ
ここが重要なポイントです。Cline はデフォルトで「Plan / Act」の 2 モードを備え、Plan モードで計画を立ててユーザーに確認してから Act モードで実行する設計になっています。自律性と安全性のバランスを取る仕組みで、ブラックボックスに操作を任せがちな他ツールと比べると透明度が高い。
Context管理とチェックポイント
Cline は長大なタスクでもコンテキスト枠を溢れさせないよう、自動でチェックポイントと履歴要約を挟む設計になっている。ワークスペースごとに保存される対話履歴はタイムライン形式で、任意のポイントに巻き戻してタスクを再実行できる。覚えておきたいのは、この仕組みはバグ修正の「失敗ループ」から脱出する際にも便利で、うまくいった時点に戻ってやり直せる。
ここが重要なポイントです。Cline の透明性は単に「差分を表示する」にとどまらず、「どの時点で判断が分岐したか」を遡れる点にある。この監査性はエンタープライズ利用での大きな価値で、Cline がオープンソースでありながら企業導入で支持される理由の一つ。
カスタム指示と.clinerules
プロジェクトルートの .clinerules に Cline のシステムプロンプト拡張を記述できる。コーディング規約、フレームワーク固有のパターン、ブランチポリシーなどを書いておくと、Cline が毎回の実行でこれらを尊重する。注意しておきたいのは、.clinerules は Git でチーム共有するのが前提で、個人の好みで書き換える場合は別ファイルを用意するほうが保守性が高い点です。
Clineの使い方・実例
インストール
# 1. VS Code を開いて拡張機能タブで "Cline" を検索しインストール
# 2. サイドバーの Cline アイコンをクリック
# 3. API キーを入力 (Anthropic / OpenAI / OpenRouter / Ollama 等)
プロンプト例: テスト修正
このプロジェクトで pytest を実行して失敗しているテストを一つずつ直してください。
直すたびに変更を diff で見せてから適用してください。
覚えておきたいのは、Cline は承認モードでは差分を画面に表示し、ユーザーが承認ボタンを押すまでファイルに書き込まない点です。全自動モードもありますが、実務では承認モードで使うのが安全です。
MCP 連携
Cline は MCP(Model Context Protocol)に対応しており、Notion・Slack・GitHub などの外部サービスに MCP サーバー経由でアクセスできる。注意しておきたいのは、MCP 対応は VS Code 側に MCP 設定を追加する点で、Claude Code と同じ MCP サーバーを共有可能だという点です。
高度な使い方: マルチステップタスク
Cline は複数ステップのタスクを一括で指示できる。たとえば「このプロジェクトの Python から TypeScript への移行計画を立て、段階的に実行して、各段階で tsc が通ることを確認して」といった指示を与えると、計画立案 → 段階的実行 → 検証のループを回す。重要なのは、途中で失敗しても元のテストやビルドが壊れない状態を保つよう、Cline がチェックポイントで自動ロールバックする設計になっていること。
ブラウザ統合とE2Eテスト
Cline の browser_action ツールは Playwright 互換で、ローカル開発サーバーに対するブラウザ操作を完全自動化できる。これを使うと「画面 A で入力して、画面 B で結果を確認して、差分をスクリーンショットで記録する」といった E2E タスクもエージェント的に実行できる。覚えておきたいのは、ブラウザ操作はリソース消費が大きく、長時間タスクでは Playwright のセッション管理に注意が必要な点です。
# 例: ログインフローの回帰テスト
このプロジェクトの dev サーバーを起動し、
http://localhost:3000/login でメール test@example.com、
パスワード test123 でログインしてダッシュボードに遷移できるかを確認。
スクリーンショットを screenshots/login.png に保存。
Clineのコミュニティと拡張エコシステム
Cline は活発な OSS コミュニティを持ち、毎月のように機能追加や修正が行われている。GitHub の Issue・Discussion・Discord が公式の対話チャネルで、MCP サーバー追加やカスタムモード機能など、利用者発のアイデアが正式機能として取り込まれることも多い。覚えておきたいのは、Cline の進化速度は商用 SaaS 並みで、4〜6 週間ごとに大きな機能が追加されている点で、導入時には最新のリリースノートを確認するのが推奨です。
Clineのメリット・デメリット
メリット
- VS Code にそのまま統合されるので既存ワークフローへの影響が少ない
- オープンソース(MIT ライセンス)で社内レビューが通しやすい
- マルチモデル対応(Claude, GPT, Gemini, Ollama)で切り替えが自由
- Plan/Act モードで安全に自律実行できる
- MCP 連携で Notion・Slack・Jira などに拡張可能
デメリット
- バックエンドに API を使うため、選んだモデルのコストがそのまま請求される
- 完全自動モードではトークン消費が急激に増えることがある
- 日本語対応は十分ながら、設計系や要件定義では英語のほうが精度が高い傾向
- VS Code 以外の IDE には対応しない
ClineとClaude Codeの違い
| 観点 | Cline | Claude Code |
|---|---|---|
| 形態 | VS Code 拡張 | CLI+統合 |
| ライセンス | OSS(MIT) | Anthropic 製 |
| モデル | マルチプロバイダ | Claude 専用 |
| MCP対応 | ○ | ○ |
| 長期記憶 | ワークスペース内履歴 | Projects / CLAUDE.md |
よくある誤解
誤解1: Cline は Anthropic 製のツールだ
違います。Cline は独立した OSS プロジェクト(作者は saoudrizwan 氏)で、Anthropic とは関係ありません。旧称が Claude Dev だったため混同されがちですが、モデル選択は自由で、Anthropic 以外も使えます。
誤解2: Cline は完全自律実行させるべきだ
全自動モードはコストとリスクが高いため、実務では Plan/Act と承認モードで運用するのが推奨です。ここが重要なポイントです。特に破壊的な操作(DB 変更・デプロイ・git push –force など)は人間が必ず確認する設計にしましょう。
誤解3: Cline と Cursor は同じ
両者とも AI コーディング支援ですが、Cursor は VS Code をフォークした独自エディタ、Cline は VS Code 拡張。Cline は既存の VS Code 環境を維持したい人向け、Cursor はエディタごと AI 統合したい人向けという棲み分けです。
実務での活用シーン
- 既存リポジトリのバグ修正・リファクタリング
- テストの追加・失敗テストの自動修正
- 大規模な一括変更(import 変更、API 呼び出しの差し替え)
- 新機能の骨組み生成と統合テスト作成
- Playwright 経由の UI 操作を含む E2E 的タスク
よくある質問(FAQ)
Q. どのモデルを使うのが最適?
コーディング実力とコストのバランスで、Claude Sonnet 4.6 と GPT-5 が第一選択肢です。ローカル完結させたい場合は Ollama 経由の Qwen 2.5 Coder や DeepSeek V3 も実用的です。
Q. 料金はどのくらい?
Cline 自体は無料ですが、裏で使う LLM の API 料金が発生します。一般的な業務で月 $20〜$100 程度が目安ですが、自動モードを多用すると数倍に膨らむこともあるので注意。
Q. チーム共有できる?
ワークスペースの .clinerules ファイルで設定やシステムプロンプトを共有できます。Git にコミットしてチームで共通化するのが推奨されます。
まとめ
- Cline は VS Code 拡張の OSS AI コーディングエージェント
- ファイル操作・コマンド実行・ブラウザ操作・MCP 連携を自律実行
- Plan/Act モードと承認モードで安全性を担保
- Claude・GPT・Gemini・Ollama などマルチプロバイダ対応
- 旧称は Claude Dev。Anthropic 公式ではなく独立 OSS
- Cursor とは棲み分け(拡張 vs フォーク)
- 実務ではテスト修正・リファクタ・MCP 連携が主戦場
参考文献・出典
📚 参考文献・出典
- ・Cline 公式サイト https://cline.bot/
- ・Cline GitHub リポジトリ https://github.com/cline/cline
- ・Cline VS Code Marketplace https://marketplace.visualstudio.com/items?itemName=saoudrizwan.claude-dev
- ・Model Context Protocol 公式 https://modelcontextprotocol.io/
Read this article in English:
What Is Cline? The Open-Source AI Coding Agent for VS Code Explained — Features, Tools, and Claude Code Comparison →






































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